学校の先生や保護者の皆さんに向け、GIGAスクール最前線の学校現場の「子どもが主人公」の取り組みをお伝えします。
子どもたちがICT機器を使いこなせるまでの「ロードマップ」として、自分自身が取り組んできたことでもあるので、お読み頂けたら幸いです。
もし良いアイデアだと思ったらマネしてみてくださいね。
方法は同じでも、目の前の子どもは世界に一人!
それぞれのクラスのドラマがあります
テレビをジャックする子ども
「先生、テレビ貸してください」
給食の準備も終わり「いただきます」が近付くと、毎日決まってそう言いに来る子たちがいます。
クイズ係(クラスではプロジェクトと呼んでいます)の子どもたちです。
私の返事も待たずに、授業で使用した後も接続し続けていた教師用パソコンからケーブルが抜かれます。そして、係の子がテレビに自分の端末を接続します。
画面には、「本日のクイズ」がぱっと映し出されました。
「いただきます」
黙食。コロナ禍の大人の鬱憤をすべて飲み込んだように、一言も話さずに給食を食べる子どもたちは、たまに顔を上げ、テレビに映ったクイズを考えながら食べているようです。
給食の時間のテレビは子どもたち専用。
これが私のクラスの日常風景です。
(係の子にジャックされたテレビ画面)
置かれた場所で咲きなさい
「今日の給食、揚げパンなの!?生きててよかった!」
「うげ、これまずくない?(小声)」
「まずいじゃなくて、スペシャルな味だね、と言って味わって食べなさい(先生)」
これまでの給食の時間は、友達同士の楽しい語らいのひとときでした。先生がみんなの輪(話)の中に入っていける大切な時間でもありました。
ところが、コロナ禍の中でマスクを全員が取る必要がある給食の時間は「一切の私語厳禁」が当たり前となり、もう1年半が過ぎていきました。
誰のせいでもないのですが、どことなく寂しい気持ちを私はずっと抱えていました。
そんな私の心を和らげてくれたのが、前述のクイズ係の子どもたちの発想でした。
パソコンにインストールされているプレゼンソフト(Microsoft Powerpoint)を使ってなぞなぞやクイズを作り、給食の時に(日替わりで)映し出す。声を出して話すことはできないけれど、その時間を有効に使って「考えることを楽しむ」ことができる。
「話してはいけないなら、その中で楽しめる何かを考えて実行しよう」という子どもの工夫に私は感動しました。
置かれたところこそが、今のあなたの居場所なのです。咲けない時は、根を下へ下へと降ろしましょう。(渡辺和子著「置かれた場所で咲きなさい」)
ICTが得意と胸を張って言えない私ですが、一つだけ大切にしたことは、「子どもたちを信頼して任せた」ことです。失敗して当たり前だから、子どもたちの「やりたい!」を信じて応援してみようと。
その思いを知ってか知らずか、ICTを使って幸せな空間作りをしようと根を張っていく子どもたちを見て、大切なことを学ばせてもらった気がしました。
子どもが主人公の時間に
ところで、授業でも「テレビや黒板をジャック」する子どもが出てきたら、面白いと思いませんか。
例えば、歴史の授業の最初に、ある子が皆の前に出て来て言います。
さあ、子ども主体の授業のスタートです。
私のクラスでは、毎回こういうことが起こるわけではありませんが、ICTを使って自主的に調べ学習を行い学びを深める姿は昨年よりも確実に増えたと感じています。
(Google earthで見た大仙古墳)
※Google earthは,社会科などの授業で活用することで子どもの興味関心や疑問を引き出せる優秀なWEB地球儀システムです。
授業外の活用が命
今回紹介した活動のように、ICT活用については「授業外」にどれだけ子どもたちが使うか(使っているか)がまず大切です。使う時間に比例して、必ずスキルもアップしていきます。
そして、そのためには「教師が子どもを心から信頼する」というマインドセットが大きなポイントです。
(経験から言わせていただくと、子供を信頼できない教師や組織では、このような主体的な活動は実現不可能です。自分に置き換えてみると分かると思いますが、嫌がられてたり信頼されてなかったりする友達とは、自分も少し距離を置こうとするでしょう?)
信頼できる関係が根っことなり、授業という枝葉にも生かされ、それが花開くとき、「子どもが主人公」の学級に変貌しています。
まずは、学級活動や休み時間、家庭での時間など、失敗を恐れずにとにかく使ってみる、そしてそんな子どもの主体的な姿を大人が見守っていきませんか。
最後まで読んで下さり、ありがとうございました!
さしすせそれでは、また次回。
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